犬と猫の悪性リンパ腫について

悪性リンパ腫とは、リンパ球という免疫機能に大きく関係する細胞に由来するがんです。犬においても猫においても比較的よく起こり、治療を行わなければ短期間で亡くなってしまうこともあります。今回はそんな犬や猫の悪性リンパ腫について解説していきます。

■原因

遺伝や環境(受動喫煙など)が関わっていると考えられていますが、まだ原因は完全にはわかっていません

一方、猫でも原因ははっきりとはわかっていませんが、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに感染していると発生率が大幅に高くなります     

■症状

リンパ球は血液にのって全身を巡るため、体中のどこにでも発生する可能性があります。そのため、症状はさまざまです。

・元気や食欲の低下
・体重の減少
・リンパ節の腫脹
・慢性的な消化器症状(下痢や嘔吐)
・呼吸困難
・鼻出血

■診断方法

視診と触診によって腫脹しているリンパ節を確認し、針生検を行います。そして診断がつかない場合には病理組織検査が必要になります。

また、ステージをチェックするために血液検査やレントゲン検査、超音波検査を行い、犬の場合は遺伝子検査を行うこともあります。

■治療方法

悪性リンパ腫に対しては抗がん剤治療を行います。治療を行わなければ余命はわずか1〜2ヶ月ほどですが、治療を行うことで犬の場合は治療後1年の生存確率が50%まで上がると言われています。しかし、猫は犬よりもやや抗がん剤に対して反応が悪い傾向にあり、治療後の平均余命は6〜9ヶ月ほどですが寛解するケースもあります。加えて、猫白血病ウイルスに感染している場合はさらに予後が悪くなります。ただし、ステージが進行する前に治療を行った場合は余命は伸びる傾向にあります。

■予防法や気をつけるべき点

猫の場合は猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスの感染を予防することで、ある程度発生率を下げることができます。ウイルスを持った猫との接触を避けるために完全室内飼育を行い、予防接種も忘れずに行いましょう。

また、いち早く腫瘍を発見できるよう、病院での健康診断に加え、飼い主様も愛犬・愛猫のリンパ節が腫れていないかどうかチェックする習慣をつけるようにしましょう。

■まとめ

悪性リンパ腫は犬や猫においては決して珍しい病気ではありません早い段階で治療を行った方が余命は長くなる傾向にあるため、最低でも1年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。また、万が一悪性リンパ腫が疑われる症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

当院ではその子の全身状態に合わせて、飼い主様と相談したうえで治療方法を選択しています。ご不安な気持ちを抱えた飼い主様をサポートできるよう努めてまいりますので、悪性リンパ腫などの腫瘍についてお悩みの方は、当院にご相談ください。

<参考>
https://www.samec.jp/veterinarians/upload-docs/201591919330.pdf
https://www.samec.jp/owners/2013/12/post-27.php

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