犬の会陰ヘルニアとは│お尻の付近が腫れていたら要注意

愛犬に最近便が細い、便が出にくそう、肛門の横が腫れているといった症状が見られたら、会陰ヘルニアの可能性があります。
この病気は去勢をしていないオスの犬に多く、発症すると排便障害や排尿障害などの症状が見られます。
今回は会陰ヘルニアの症状、原因、診断、治療、予防について解説します。

■会陰ヘルニアの症状

会陰ヘルニアは骨盤隔膜というお尻部分を覆っている膜に異常があり、骨盤内の臓器(直腸、膀胱、脂肪など)が外側に飛び出してしまうことで起こる病気です。
会陰ヘルニアになると、肛門の付近の「会陰部」と呼ばれる場所が膨らみ、膨らんだ部分(ヘルニア孔)に内臓が入り込むことによって様々な症状が見られます。また、ヘルニア孔にどの臓器が入り込むかによって症状が異なり、一般的には以下のような症状が見られます。

・膨らんだ部分に直腸が入り込んだ場合:便が出づらくなる(排便障害
・膨らんだ部分に膀胱、前立腺が入り込んだ場合:尿が出づらくなる(排尿障害

会陰ヘルニアの原因

会陰ヘルニアは、男性ホルモンの影響や、筋力低下を引き起こす病気、加齢などが関係し、会陰を構成する筋肉群が脆弱になり、萎縮することで起こりやすくなると考えられています。そのため、5歳以上で未去勢の犬の発症が多く見られます
また、同じくオスの犬に多く見られる前立腺肥大の発症や、吠えるために肛門付近に力を入れるという犬特有の行動も会陰ヘルニアの発症を誘発しやすくなると言われており、上記の理由から猫やメスの犬、去勢済みのオスの犬の発症は少ないものの、稀に発症することもあります。

■会陰ヘルニアの診断

会陰ヘルニアを診断するには以下の検査を行い、肛門付近のふくらみに何が入っているのかを確認します。
・直腸検査
・レントゲン検査
・超音波検査

会陰ヘルニアは直腸の侵入によりふくらんでいることが多いため、肛門から指を入れて直腸の変形を確認する検査を行うケースが多く見られます。

会陰ヘルニアの治療

脱出の程度により異なりますが、基本的には外科手術が適応になります。ただし、麻酔のリスクが高かったり、症状の程度が軽かったりする場合は内科療法が選択されることもあります。
また、膀胱、尿管、前立腺が膨らんでいる場合は緊急性があるため、可能な限り早急に外科手術を行う必要があります。
加えて、術後の再発が多い病気のため、再発予防を目的として去勢手術を行うこともあります。

■ 会陰ヘルニアの予防

会陰ヘルニアは高齢で未去勢の犬に多いため、去勢手術を若いうちに受けておくということが最も重要な予防法です。加えて、無駄吠えが会陰ヘルニアの原因になることもあるため、無駄吠えを抑えられるようしつけをすることも大切です。
肛門付近がふくらんできた場合、会陰ヘルニアはもちろん、腫瘍ができている可能性もあるため、早急に動物病院を受診しましょう。
会陰ヘルニアの治療について、ご相談があれば当院までご連絡ください。

仙台市泉区南光台の動物病院
にきどうぶつ病院