椎間板ヘルニアは犬によく見られる神経疾患で、ダックスフンドを始めとした軟骨異栄養性犬種と呼ばれる犬種では特に注意が必要です。
治療が遅れると麻痺が残る可能性があるため、この後に解説するような症状が見られたら早急に受診しましょう。
■症状
椎間板ヘルニアを発症すると、背骨にかけて激しい痛みが生じ、以下のような様子が見られます。
・なかなか動きたがらない
・急に歩けなくなった
・歩くときにふらついている
・抱っこするとキャンと鳴き声を上げることがある
重症になると手足が麻痺し、後ろ足を引きずって前足だけで歩くという様子が見られます。
■椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種
椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種は軟骨異栄養性犬種と呼ばれる、ミニチュア・ダックスフンドやビーグル、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、シー・ズーなどの犬種です。
中でもミニチュア・ダックスフンドは特に症例が多く、その数は実に他の犬種の10倍とも言われています。
■治療
椎間板ヘルニアは重症度に応じていくつかのグレードに分けられます。
発生件数として全体の70%以上を占める腰の椎間板ヘルニアは全部で5つのグレードに分けられ、そのうちグレード4以上が重症に分類され、手術による治療が推奨されます。
手術が必要だと獣医師が判断した場合は専門の機関でMRIを撮影し、椎間板ヘルニアの確定診断と椎間板ヘルニアが起きている位置を確認します。
場所が特定された場合は患部の背骨を削って穴を開け、椎間板物質を取り除きます。
症状が軽症の場合は、ケージの中で安静にしながら、抗炎症剤を処方する内科的治療を行います。
手術が必要な場合はできるだけ早く対応することがその後の生活に影響するため、立てなくなった場合はできるだけ早く動物病院を受診してください。
■予防
椎間板ヘルニアを予防するには、背骨に負担がかからない生活を送ることが重要です。
具体的には以下のことに気をつけましょう。
・階段や段差などの上り下りを極力避ける
・運動不足の状態で急に激しい運動をさせないように注意する
・ご自宅の床が滑りやすい場合、カーペットを敷くことで滑りづらくする
・足裏の毛が肉球にかからないようこまめにカットする
■最後に
椎間板ヘルニアはダックスフンドを中心に、どの犬種でも起こる可能性があり、発症すると犬のQOL(生活の質)を大きく下げてしまう病気です。重症化すると自力で歩くことが困難になることもあるため、背骨に負担がかからないような生活を送り、気になる症状が見られたら、早急に当院までご相談ください。
仙台市泉区南光台の動物病院
にきどうぶつ病院