予防診療とは、病気の発症を抑えたり、重症化を防ぐための診療です。
ペットの健康を維持するために重要であり、狂犬病ワクチン接種、伝染病予防ワクチン接種、ノミ・マダニ予防、フィラリア予防などが代表的な予防診療として知られています。
今回は予防診療のうち、ノミ・マダニ、フィラリア予防について解説します。
■ノミ・マダニ、フィラリア予防を行う理由とは
ノミ・マダニ、フィラリアは犬や猫に寄生する寄生虫です。これらの寄生虫により、様々な健康上の問題が引き起こされます。これらの寄生虫によって引き起こされる主な健康上の問題は以下の通りです。
〇ノミ・マダニ
・皮膚の痒みや炎症の発生
・様々な感染症の媒介
〇フィラリア
・フィラリア症と呼ばれる感染症の発症
では、具体的にこれらの寄生虫がもたらす病気とはどのようなものがあるのでしょうか。
■ノミ・マダニ、フィラリアによってもたらされる病気
前述した通り、ノミ・マダニ、フィラリアは様々な感染症を媒介します。
中には治療が難しかったり、感染すると命の危険が伴ったり、人間にも感染する感染症もあるため、注意が必要です。
〇ノミによってもたらされる感染症の一例
・瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)
この病気は、犬や猫が毛づくろいの際に瓜実条虫(サナダムシ)という寄生虫を持ったノミを飲み込むことで感染します。大量に寄生されることで腸炎を起こし、激しい下痢や体重減少を起こすことがあります。
〇マダニによってもたらされる感染症の一例
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
この病気は、犬や猫がこの感染症のウイルスを保有したマダニに血を吸われることで感染し、発症すると発熱や腹痛、嘔吐、下痢などが起こります。
人間が感染した場合は非常に致死率が高いことで知られ、動物から人間に感染して死亡する例も報告されています。
〇フィラリアによってもたらされる感染症
・フィラリア症
この病気は蚊を通じて媒介される感染症で、犬糸状虫症とも言います。
フィラリア症はフィラリアの感染仔虫を保有した蚊に吸血され、そのフィラリアが動物に寄生することで発症します。
一般的な症状には、咳による呼吸困難、腹水の貯留などが挙げられます。
治療法としては、無症状や臨床症状が軽度の場合はドキシサイクリンなどを使用し、成虫を弱体化させ、フィラリア成虫の寿命が尽きるのを待つような対症療法を行う事が一般的ですが、症状が重度の場合は成虫の積極的な駆除が必要な場合もあります。ただし、成虫の駆除をする事で動物が命を落とす事があったり、フィラリア感染による肺高血圧症などの合併症のコントロールが難しいケースもあるため、出来るだけフィラリア症にならない事が重要です。
また、犬に対するフィラリア症の感染予防はよく知られていますが、犬糸状虫は猫やフェレットにも感染することがあります。
特に、猫の場合は犬とは違い検査や診断が難しく、突然死を引き起こすケースもあります。
猫とフェレットのフィラリア予防につきましては当院まで直接お問い合わせください。
では、具体的にこれらの寄生虫はどのように予防したら良いのでしょうか。
■ノミ・マダニ、フィラリアの予防方法
〇ノミ・マダニ
一般的なノミ・マダニ予防は月に1回、もしくは3か月に1回のお薬の投与で行われます。
一般的にノミやマダニは春から秋にかけての暖かい季節に活動が活発になると言われています。宮城県では一般的には3月から11月末までがノミダニ予防の季節となりますが心配な方は通年の予防をしても良いでしょう。
〇フィラリア
フィラリア予防もお薬の投与を通じて行われます。
フィラリアの予防薬は月1回内服する錠剤や犬が喜んで食べるお肉のようなタイプ、ノミダニ・フィラリア予防が一緒にできるお肉タイプの薬、背中に液体を塗るタイプ、など様々なタイプの予防薬があります。また、当院のある宮城県においては、5月初旬~12月初旬の期間で予防することをお勧めしています。
当院では動物の食べやすさやアレルギーに対応するため複数のノミ・マダニ・フィラリアの予防薬を取り扱っておりますので、どのお薬を選ぶべきかは当院までご相談ください。
↓HPでも当院の予防診療について詳しく紹介しています。
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